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公開日:2008年9月1日
第2回 内部監査の範囲と実施計画
監査役の監査、内部監査部門の監査
2008年4月、いわゆる日本版SOX法が施行され、内部統制やコンプライアンスに対する意識が高まる中、内部監査の重要性がクローズアップされています。「監査」という言葉ひとつとっても、以前よりはるかに重みを増してきているといってよいでしょう。
皆さんに企業における内部監査のイメージを尋ねれば、監査役の職務という答えが返ってくるかもしれません。監査役とは、日本の株式会社に独特の制度です。明治23年の商法制定により設置され、時代につれてその定義、権限や地位の変更が重ねられています。今日における監査役の役割は、2006年5月に施行されたいわゆる新会社法において、「監査役は、取締役(会計参与設置会社にあっては、取締役及び会計参与)の職務の執行を監査する。この場合において、監査役は、法務省令で定めるところにより、監査報告を作成しなければならない」と定められています。
かつての監査役は、どちらかというと名誉職的な位置づけにあることが多く、本来の使命を果たしていないという批判もありました。しかし近年、企業の大がかりな不祥事が相次いで発覚したことを受けて、新たな会社法では監査役の権限と責任が強化されただけでなく、外部監査人と連携し“監査”役としての本分を果たすことが求められるようになりました。また、日本版SOX法の策定時においても、監査役は「内部統制の番人」としての役目を割り当てられています。
しかしその一方で、企業で実質的な内部監査を担当しているのは、監査部や内部監査室などの内部監査部門です。内部監査部門は、経営者直属の組織として他からの制約を受けない独立性を与えられ、経営者の“目”となって監査を実施し、結果をもとに公正かつ客観的な勧告を行います。経営者はこれを参考にして、内部統制報告書を作成します。
監査役の監査と内部監査部門の監査では、その目的も対象も異なります。監査役の監査は、投資家などステークホルダーのために、主として取締役の職務の執行状況について調査しますが、内部鑑査部門の監査は、経営者の指示を受けて、社内の業務活動全般について健全性や適正性をチェックします。「誰のために、何を監査するのか」という点で異なると考えればよいでしょう。
当コラムは社内の業務全般を対象としていますので、ここでは内部監査部門の監査について考えていくことにします。
内部監査の範囲
それでは、内部監査とは具体的にはどのようなものでしょうか。内部監査協会が1960年に制定し、2004年に3度目の改訂を行った「内部監査基準」(http://www.iiajapan.com/guide/)では、内部監査の対象範囲を次の3つとしています。
・リスク・マネジメント
内部監査部門は、重大な潜在的リスクの識別と検討・評価により、またリスク・マネジメントおよびコントロール・システムの改善に貢献することで、組織体の維持・発展に寄与しなければならない。
・コントロール
内部監査部門は、組織体のコントロール手段の妥当性、有効性および効率性の検討・評価と、組織体内の各人に課せられた責任を遂行するための業務諸活動の合法性と合理性の検討・評価とにより、組織体が効果的なコントロール手段を維持するように貢献しなければならない。
・ガバナンス・プロセス
内部監査部門は、組織体が以下の目的を達成するために、ガバナンス・プロセスの改善に向けた検討・評価を行い、適切な是正措置を提言しなければならない。
- -倫理観と価値観の高揚
- -効果的な組織的業績管理とアカウンタビリティの確保
- -リスクとコントロールに関する情報の、組織体内の適切な部署に対する有効な伝達
- -最高経営者、取締役会、監査役会または監査委員会、外部監査人および内部監査人の間におけるそれら活動の効果的な調整と情報の伝達
内部監査の実施計画
また、内部監査の実施に際しては、個々の内部監査について目標や範囲、実施時期、資源配分などの計画を策定し、文書化していきます。個別計画の策定に当たっては、以下の各項目について考慮することを「内部監査基準」では求めています。
- 対象部門の目標および当該部門がその業績を管理する手段
- 対象部門の目標および経営資源に対する重大なリスクと、リスクの潜在的な影響を受容可能な水準に維持するための活動および手段
- 一般的な内部統制モデルとの比較における、対象部門のリスク・マネジメントおよびコントロール・システムの妥当性と有効性
- 対象部門にかかわるリスク・マネジメントおよびコントロール・システムについての改善勧告
こうして実施計画を策定したのち、監査を受ける側に合意を取り付けた上で、内部監査を行うことになります。監査を受ける側は、内部監査の意義を十分に理解した上で、問題点を指摘されるのをいたずらに警戒したり、ミスを隠蔽したりするのではなく、資料や情報を内部監査部門へ積極的に提供していくことが大切です。
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