投稿：2025/12/17

国産セキュリティで認証から通信まで安全に──新製品「Z-FILTER」で実現するゼロトラスト

皆様、こんにちは。デジタルアーツ株式会社マーケティング部の若葉と申します。本日は「国産セキュリティで認証から通信まで安全に～新製品Z-FILTERで実現するゼロトラスト」と題し、昨今のサイバー攻撃の動向を踏まえながら、これからの時代に求められるセキュリティの考え方と、それを実現する弊社の新しいソリューションについて、詳しくお話しさせていただきます。

デジタルアーツはインターネットセキュリティ関連のソフトウェアやクラウドサービスの企画・開発・販売を全国に向け行っている国産の情報セキュリティメーカーです。Webセキュリティの「i-FILTER」やID管理の「StartIn」など多岐にわたる国産セキュリティ製品をご提供しております。

通信・認証・メール・ファイルなど包括的なマルウェア感染・情報漏えい対策が可能スライド

本講演では、それらの技術を結集した新製品「Z-FILTER」が、いかにして認証から通信までのセキュリティを包括的に守り、ゼロトラストを実現するのかを、具体的な攻撃事例もまじえながらご紹介します。

登壇者

デジタルアーツ株式会社マーケティング本部プロダクトマーケティング第1部主任

若葉絢音

デジタルアーツ株式会社は、安心・安全なインターネット社会の実現を目指す国産セキュリティメーカーです。Webフィルタリング、メールセキュリティ、情報漏洩対策を中心に、企業・教育機関・官公庁へクラウド型サービスを提供。独自の「ホワイト運用®」により利便性と安全性を両立し、進化する脅威からお客様の情報資産を守り続けています。

ゼロトラスト、SASE、SSEとは？基本的な違いを解説

はじめに、最近よく耳にするようになった「ゼロトラスト」「SASE（サシー）」「SSE」という3つの重要な単語について、それぞれの意味と関係性を整理しておきたいと思います。

ゼロトラストの意味と定義

「ゼロトラストセキュリティ」とは、その名の通り「全てを信頼せず、あらゆるアクセスを制御して常に安全性を検証する」というセキュリティの考え方・概念そのものを指します。

かつて主流だった、社内と社外をファイアウォールで区切り「内側は安全」とする境界型防御は、クラウドサービスの普及やコロナ禍を契機とした働き方の変化により、もはや限界を迎えています。

情報資産も従業員も、あらゆる場所にいることを前提とした新しい考え方が、ゼロトラストなのです。

SASE（サシー）/SSEの意味と定義

一方、「SASE」と「SSE」は、このゼロトラストという概念を実現するための具体的な手段であり、機能で構成されるフレームワークを指します。

SASE（Secure Access Service Edge）は、ネットワーク機能（SD-WANなど）と、後述するSSEのセキュリティ機能をクラウド上で統合して提供する考え方で、場所を問わず、すべてのユーザーとデバイスに一貫したセキュリティポリシーを適用できるのが特徴です。

そしてSSE（Security Service Edge）は、SASEからセキュリティ機能だけを切り出した部分を指します。具体的には、Webアクセスの安全性を確保するSWG（Secure Web Gateway）、クラウドサービスの利用を可視化・制御するCASB（Cloud Access Security Broker）、社内アプリケーションへの安全なアクセスを提供するZTNA（Zero Trust Network Access）などの機能が含まれます。

◆SWG（Secure Web Gateway）とは

「セキュアウェブゲートウェイ」の略。ユーザーのWebアクセスを中継し、セキュリティを確保する仕組み。URLフィルタリングやマルウェアスキャン機能で、危険なサイトへのアクセスや不正なファイルのダウンロードをブロックする。

◆CASB（Cloud Access Security Broker）とは

「キャスビー」と読み、ユーザーとクラウドサービスの間でセキュリティポリシーを適用する仲介役。シャドーITを含むクラウド利用を可視化・制御し、機密情報のアップロード禁止などで情報漏洩リスクを低減する。

◆ZTNA（Zero Trust Network Access）とは

従来のVPNに代わる、ゼロトラスト原則に基づくリモートアクセス技術。VPNと異なり、ユーザーとデバイスを都度認証し、許可された特定のアプリケーションへのアクセスのみを許可。これにより攻撃対象領域を最小化し、安全性を高める。

全社的なネットワーク構成から見直したい場合はSASEが、既存のネットワークは活かしつつセキュリティだけを強化したい場合はSSEが有効です。自社に必要な要素は何かを考えることが、効果的な対策への第一歩となります。

なぜゼロトラストが必要なのか？最新サイバー攻撃の4つの事例

ゼロトラストが叫ばれるようになった大きな背景には、サイバー攻撃の巧妙化・高度化があります。ここでは、セキュリティ対策を考える上で無視できない4つの攻撃事例をご紹介します。

事例1：VPN機器を起点としたランサムウェア感染

国内の保険代理店様で、VPN（Virtual Private Network）への攻撃を起点にランサムウェアに感染した事例です。攻撃者はVPNサーバーにブルートフォース攻撃で侵入し、そこから社内のファイルサーバーに接続してランサムウェアを実行しました。

VPNは一度接続を許可すると社内ネットワークへ広範囲にアクセスできてしまう危険性があり、外部からの侵入を検知できなかったことが主な原因です。今やアタックサーフェス（攻撃対象領域）となりやすいVPNからの脱却や、MFA（多要素認証）による入り口対策が急務と言えます。

◆ブルートフォース攻撃とは

「総当たり攻撃」とも呼ばれる。IDやパスワードとして考えられるすべての文字列の組み合わせを機械的に試行し、不正ログインを試みる攻撃手法。

事例2：パスワードリスト攻撃による不正アクセス

闇サイトなどで不正に入手したIDとパスワードのリストを使い、様々なWebサイトでログインを試みるパスワードリスト攻撃も後を絶ちません。ある事例では、この攻撃によって企業のサイトが侵入され、1万件以上もの顧客アカウント情報が漏洩しました。

使い回されたパスワードが破られれば、簡単に不正ログインを許してしまいます。この事例は、パスワードだけに依存しない多要素認証の重要性を改めて示しています。

事例3：フィッシングサイトへの誘導による情報窃取

あるホテルで、管理サイトにウイルスメールが送られ、ID・パスワードが窃取された事例です。攻撃者はその認証情報で宿泊予約システムに侵入し、旅行者に向けてクレジットカード情報を入力させるフィッシングサイトへのリンクを含んだ偽のメールを送信しました。

これは、ホテルだけでなく、そのサービスを利用するお客様にまで被害が及んだ深刻な事例です。フィッシングサイトへのアクセスをブロックする仕組みと、万が一ID・パスワードが盗まれても侵入を防ぐ多要素認証の組み合わせが不可欠です。

事例4：元従業員による内部不正と情報持ち出し

外部からの攻撃だけでなく、内部のリスクにも目を向けなければなりません。大手通信事業者で、元従業員が転職する際に、クラウドサービスを利用して社内の機密情報を大量に持ち出し、転職先で不正利用したという事例がありました。

システム的に機密情報を自由にアップロードできる状態だったことが大きな原因です。このような内部不正には、機密情報の送信を検知・ブロックするDLP（Data Loss Prevention）や、不適切なクラウドサービスの利用を制御するCASBといった対策が有効です。

◆DLP（Data Loss Prevention）とは

「情報漏洩対策」の略。組織内のデータ内容を監視し、ポリシーに違反する機密情報が外部へ送信されるのを検知・ブロックする仕組み。メール添付やクラウドへのアップロードなどをリアルタイムで監視し、重要データの流出を防ぐ。

これらの事例からも分かるように、攻撃手法は多様化しており、従来の境界型防御だけでは対応が困難です。だからこそ、ゼロトラストの概念に基づいた多角的な対策が求められているのです。

国産SSE「Z-FILTER」とは？多様化する脅威への統合的アプローチ

こうした多様化するサイバー攻撃に対応するため、弊社が新たにご提案するのが、国産のセキュリティソリューション「Z-FILTER」です。

Z-FILTERは、先ほどご説明したSSEとID管理を行うIDaaS（Identity as a Service）を兼ね備えた、ゼロトラストセキュリティソリューションです。セキュリティ対策に必要な様々な機能を1つの管理画面、統一されたUIでご提供できるのが大きな特徴です。

◆IDaaS（Identity as a Service）とは

クラウド上でID認証とアクセス管理機能を提供するサービス。複数のクラウドサービスのID情報を一元管理し、一度のログインで済む「シングルサインオン（SSO）」や、セキュリティを強化する「多要素認証（MFA）」を実現する。管理者の運用負荷を軽減し、ユーザーの利便性とセキュリティを向上させる。

インシデントに対して、Z-FILTERがどのように対策できるかをまとめると、以下のようになります。

VPN経由の不正侵入・ランサムウェア感染
ZTNAとIDaaSにより、そもそもVPNを使わない安全なリモートアクセスを実現。外部からの攻撃リスクを低減しつつ、強固な認証で本人確認を行います。
未知の脅威
弊社独自のホワイトリスト運用技術により、安全が確認された通信のみを許可。日々生まれる新たな脅威をブロックします。
外部からの不正アクセス
IPS（Intrusion Prevention System/不正侵入防御システム）機能やクラウドファイアウォール機能で不正な通信を検知・防御します。
内部からの不正な持ち出し
CASB・DLP機能で、不適切なクラウドサービスの利用や機密情報のアップロードを制御し、内部不正による情報漏洩を防ぎます。

数あるセキュリティソリューションのなかで、Z-FILTERがご提供できる価値は大きく3つあります。

一つの国産プラットフォームで人・場所・アクセスを包括的に制御
位置情報認証など高度な認証とSSEの組み合わせを簡単に実現
シンプルなプランと為替に影響されない安定した価格帯

Z-FILTERの主要機能：認証から通信制御までを1つの製品で実現

Z-FILTERが持つ主要な機能について、もう少し詳しくご紹介します。

VPNの限界を超える安全なリモートアクセス

マルウェア感染経路の第1位とも言われるVPNには、脆弱性の問題や通信遅延といった限界が顕在化しています。

Z-FILTERのZTNA機能は、通信のたびに認証を行い、ユーザーとデバイスの正当性を都度確認することで安全性を担保します。通常、ZTNAの利用にはIDaaS製品との連携が別途必要ですが、Z-FILTERには弊社のIDaaS製品「StartIn」が統合されているため、社外から社内へのアクセスまで、同一ベンダーのソリューションで完結できるのが大きな強みです。

高精度を誇るホワイトリスト運用

弊社のWebセキュリティ製品「i-FILTER」で最大の強みといえるのが、ホワイトリスト運用です。危険なサイトをリスト化してブロックするブラックリスト方式とは逆で、弊社のデータベースで安全と確認されたサイトへのアクセスしか許可しないという考え方です。

この方式は、高精度・高網羅率のデータベースがなければ誤検知を多発させてしまいますが、弊社が長年培ってきたデータベース技術により、未知の脅威に対しても極めて高い防御性能を発揮します。Z-FILTERも、導入実績No.1を誇るi-FILTERの基盤をそのまま継承しており、安心してご利用いただけます。

特許技術「位置情報認証」で不正アクセスをシャットアウト

Z-FILTERに統合されたIDaaS「StartIn」は、ワンタイムパスワードや生体認証といった標準的な多要素認証に加え、弊社独自の認証方式を組み合わせることが可能です。

特に特徴的なのが、特許を取得した、位置情報によるアクセス制限です。あらかじめ許可するエリア（例：国内、事業所、自宅など）を登録しておくことで、許可されていないエリアからのログインをブロックできるため、海外からの不正アクセスなどを物理的に防止できます。

また、端末にインストールされた証明書を用いたパスワードレス認証も実現可能です。ID・パスワードを使わない運用にすることで、フィッシングやパスワードリスト攻撃のリスクを根本から排除できます。

IPS・CASB・DLP・レポート機能

その他にも、Z-FILTERはゼロトラスト実現に欠かせない、以下のような機能を網羅しています。

IPS機能
許可された通信の中身まで解析し、攻撃の兆候を検知・防御します。
CASB/DLP機能
3,000以上のクラウドサービスに対し、「ログインは許可するがファイルアップロードは禁止する」といったアクション単位での柔軟な制御や、機密情報の漏洩防止が可能です。
レポート機能
「いつ、誰が、どこで、どのアプリに、どんなデータを送信したか」を詳細なログとして記録・可視化します。ログは標準で1年間保存可能です。