投稿:2025/04/24
更新:2025/04/24
フルマネージドSASE「Verona」とは

こんにちは!株式会社網屋 Network All Cloud部の副部長、大高静香です。
本日はお忙しい中、私たちのウェビナー「Verona Summit 2025」にご参加いただき、誠にありがとうございます。このセッションでは、フルマネージドSASE「Verona(ヴェローナ)」について、皆さんと一緒に学んでいきたいと思います。
最近、クラウドサービスの利用やテレワークが一気に広がり、私たちの働き方は大きく変わりました。オフィスだけでなく、自宅や外出先など、働く場所も様々です。しかし、その利便性の向上と同時に、残念ながらランサムウェアをはじめとするサイバー攻撃もより巧妙化、激化しています。このような状況を受け、企業のネットワークセキュリティのあり方そのものが、大きな見直しを迫られる転換期を迎えていると言えるでしょう。
「うちのセキュリティ対策、今のままで本当に大丈夫かな…?」
「新しい働き方に合わせてネットワーク環境も見直したいけど、何から手をつければいいんだろう…」
もしかしたら、皆さまの中にも、このような漠然とした不安や課題を感じていらっしゃる方が少なくないのではないでしょうか。本日のウェビナーが、皆さまのそんなお悩みを少しでも解消し、具体的な対策への一歩を踏み出すためのお役に立てれば幸いです。
登壇者

株式会社 網屋 Network All Cloud部 副部長
大高 静香
企業のネットワークインフラ構築と運用支援を専門とし、特にVPNリモートアクセス分野で多くの企業のテレワーク環境整備を支援。SASEの導入にも精通しており、Veronaの販売担当として企業のセキュリティ強化とDX推進に貢献。
SASE導入前にチェック。あなたの会社は大丈夫?ネットワークセキュリティ4つの課題
まず、現代の多くの企業ネットワークが直面している、代表的なセキュリティ課題について一緒に確認していきましょう。主に4つの大きなポイントが挙げられます。

「多様化した通信経路への対応」
1つ目の課題は、「多様化した通信経路への対応」が追いついていないことです。クラウドサービスの利用が当たり前になり、テレワークも普及したことで、社員が業務で使う通信経路は社内ネットワークだけに留まらなくなりました。自宅のインターネット回線、カフェのWi-Fi、そして様々なクラウドサービスへの直接アクセスなど、保護すべき対象は格段に増え、複雑化しています。この結果、従来の「社内と社外の境界線で防御する」という考え方(境界型防御)だけでは、すべての通信経路を同じセキュリティレベルで守ることが難しくなり、セキュリティホールが生まれやすくなっています。資料の図が示すように、通信があらゆる方向に向かっているのが現状です。
「アクセス制御の欠如」
2つ目は、「アクセス制御の欠如」によるリスク増大です。場所や端末を問わずに社内リソースや各種サービスへアクセスできるのは便利ですが、その一方で、「誰が」「どの端末から」「どの情報に」アクセスできるのか、という制御が適切に行われていないケースが散見されます。もし制御が不十分だと、社員が悪意なく危険なWebサイトにアクセスしてしまったり、セキュリティ対策の甘い個人端末などからマルウェアが侵入し、社内ネットワーク全体へ感染が拡大したりするリスクが高まります。一度侵入を許してしまうと、その被害は甚大なものになりかねません。
「脆弱性対応」
3つ目の課題は、「脆弱性への対応」の遅れです。ソフトウェアやネットワーク機器には、日々新たな脆弱性(セキュリティ上の欠陥)が発見されます。特に、ファイアウォール(FW)、VPN装置、UTM(統合脅威管理)といったセキュリティ機器については、発見された脆弱性を修正するためのパッチ(修正プログラム)を迅速に適用し続けることが不可欠です。しかしながら、「慢性的なIT人材不足により、日々の運用業務に追われ、パッチ適用まで手が回らない」というお悩みを、多くの企業様から伺います。放置された脆弱性は、攻撃者にとっては容易な侵入口となり、常にサイバー攻撃の脅威に晒されることになります。
「ボトルネックの発生」
そして4つ目が、業務効率を直撃する「ボトルネックの発生」です。クラウドサービスの活用、テレワークでのリモートアクセス、そしてWeb会議の頻繁な利用は、ネットワークを行き交う通信量(トラフィック)を急増させました。特に、多くの通信が集中する企業のインターネット接続点が渋滞し、通信速度が著しく低下する「ボトルネック」現象が発生しやすくなっています。
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Web会議が頻繁に途切れる
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業務システムのレスポンスが悪い
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ファイルの送受信に時間がかかる
といった問題は、従業員のストレスになるだけでなく、企業全体の生産性を低下させる深刻な問題です。これらの4つの課題は、程度の差こそあれ、多くの企業が直面している現実ではないでしょうか。
SASEとは?ネットワークセキュリティ課題を解決する新常識とそのメリット
さて、これら複雑化するネットワークセキュリティの課題に対し、どのような解決策があるのでしょうか。その答えの一つとして、現在大きな注目を集めているのが「SASE(サッシー:Secure Access Service Edge)」という新しいセキュリティモデルです。

SASEとは、簡単に言えば、これまで別々に導入・管理されることが多かったネットワーク機能とセキュリティ機能を、クラウド上で一つに統合して提供する、新しいアーキテクチャのことです。これを導入することで、先ほど挙げた4つの課題に対して、包括的かつ効率的なアプローチが可能になります。
具体的に、SASEを導入することでどのようなメリットが得られるのでしょうか。
すべての通信経路を保護
まず、多様化するすべての通信経路を一元的に保護することができます。オフィスからのアクセス、自宅や外出先からのリモートアクセス、さらにはクラウドサービスへのアクセスなど、ユーザーがどこから、どのネットワークを経由してアクセスする場合でも、原則としてSASEのクラウド基盤を経由させます。そこで統一されたセキュリティポリシーを適用することで、場所や接続方法に依存しない、一貫したセキュリティレベルを実現します。これにより、セキュリティの「穴」がなくなり、どこからでも安心して業務を行える環境が整います。
全ネットワークアクセスを制御
次に、ネットワーク全体のアクセス制御を、より厳格かつ柔軟に行うことが可能になります。SASEはゼロトラストの理念に基づき、「誰が」「どの端末から」「どのアプリケーションやデータに」アクセスできるのかを、状況に応じて動的に評価し、最小限の権限のみを付与します。これにより、不正アクセスや内部からの情報漏洩のリスクを大幅に低減できます。さらに、マイクロセグメンテーションという技術を併用すれば、ネットワーク内部をより細かく分割し、万が一マルウェアに感染したとしても、その被害が他の領域へ広がるのを効果的に食い止めることができます。
脆弱性への即時対応
加えて、脆弱性管理の運用負荷から解放されるというメリットも大きいです。SASEはクラウドサービスとして提供されるため、セキュリティ機能のアップデートや新たな脅威への対応(定義ファイルの更新、脆弱性パッチの適用など)は、基本的にサービス提供事業者側で迅速に実施されます。利用企業は、これまでのように機器ごとにアップデート作業を行う手間から解放され、常に最新のセキュリティ保護を受けることができます。
ボトルネックを解消
最後に、通信のボトルネックを解消し、ネットワークパフォーマンスを最適化します。SASEは、通信の種類や宛先に応じて最適な経路を選択するインテリジェントなネットワーク機能(SD-WAN機能など)を内包しています。例えば、信頼できる特定のクラウドサービス(Microsoft 365など)やWeb会議の通信は、社内のインターネット出口を経由させずに直接インターネットへ振り分けるローカルブレイクアウトを行うことで、ネットワークの混雑を緩和します。これにより、通信遅延を解消し、Web会議の品質向上や業務アプリケーションの快適な利用を実現します。
このように、SASEは、セキュリティの強化とネットワークの効率化・快適性を同時に実現する、現代のビジネス環境に不可欠なソリューションと言えるでしょう。
専門家不要で運用丸投げOK!網屋の国産フルマネージドSASE「Verona」
SASEのメリットをご理解いただけたところで、いよいよ私たちが提供するフルマネージドSASE「Verona(ベローナ)」について、詳しくご紹介させていただきます。

Veronaは、これまでご説明してきたSASEのコンセプトに基づき、高度なネットワーク機能と包括的なセキュリティ機能をクラウド上で統合して提供する、網屋独自のサービスです。
そして、Veronaを最も特徴づけているのが、サービス名にもある「フルマネージド」という点です。これは、Veronaの導入計画から設計・構築、そして導入後の日々の運用監視、セキュリティポリシーの維持・更新、障害発生時の切り分け・復旧支援、さらには機器のファームウェアアップデートまで、SASEの運用管理に関わる専門的で煩雑な業務のほぼすべてを、私たち網屋の経験豊富な専任エンジニアがお客様に代わって実施することを意味します。
「SASEを導入したいが、社内に運用できる専門人材がいない…」
「情報システム担当者が他の業務も兼務しており、これ以上セキュリティ運用に工数を割くのは難しい…」
Veronaは、まさにそのようなお悩みをお持ちの企業様のために開発されました。お客様は、複雑な運用管理業務から解放され、専門家による高品質なサポートを受けながら、安心して最新のSASE環境を利用し、そのメリットを最大限に享受することができる...というわけです。
Veronaが提供する主な機能群(ZTNA、SWG、FWaaS、CASB、SD-WANなど)は、URLフィルタリング、DNSセキュリティ、IPS/IDS(不正侵入検知・防御)、アンチウイルス・アンチスパム、アプリケーション利用制御といった、現代のネットワークセキュリティに不可欠な要素を網羅しています。これらを一つのプラットフォームで統合管理し、お客様の環境に合わせて最適化してご提供します。

Veronaは、網屋が長年にわたり提供してきたフルマネージド型ネットワークサービス群「ネットワーク・オール・クラウド」の中核をなすソリューションの一つです。このシリーズ全体では、おかげさまで累計5,300社以上(2024年9月時点)という多数の企業様にご導入いただいており、その実績は、全国展開の飲食店様、多数のオフィスを持つ企業グループ様、教育機関様、建設現場の事務所様、ショッピングモール内のテナント様など、業種や規模を問わず多岐にわたります。この実績と信頼性の基盤となっているのが、私たちの独自技術「amigram」であり、この技術は情報サービス産業協会(JISA)様より「JISA Awards 2020」を受賞するなど、外部からも高い評価をいただいています。
国産のVeronaが選ばれる理由と海外SASE製品との明確な違い
SASEソリューション市場には、機能豊富な海外メーカー製品も数多く存在します。その中で、私たち網屋のVeronaは、なぜ「国産」にこだわり、どのような価値を提供しようとしているのでしょうか。

この図は、様々なSASE製品を「導入・運用のしやすさ」と「コスト効率」という2つの軸でマッピングしたものです。
一般的に、海外製の高機能SASE製品(図の左下に位置するP社、Z社、C社など)は、世界中に多数の接続拠点(POP)を展開していたり、DLP(情報漏洩防止)、RBI(Web分離)、サンドボックス(未知の脅威解析)といった高度なセキュリティ機能まで網羅していたりと、非常に多機能であることが強みです。しかしその一方で、
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機能が多岐にわたるため、設計や設定が複雑になりがち
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導入時に専門的なネットワーク構築スキルやインテグレーション費用(NI費用)が必要となることが多い
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管理画面に表示される情報量が多く、直感的な操作が難しい場合がある
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日々の運用やサポートは別契約・別料金となるケースが多く、トータルコストが高額になりやすい
といった側面があり、導入・運用の両面でハードルが高いと感じられる企業も少なくありません。これらの製品は、社内に高度な専門知識を持つITエンジニアが多数在籍し、主体的にシステムを運用・管理できる体制があることを前提としている場合が多いと言えます。
これに対し、網屋のVeronaは、日本のビジネス環境、特にIT人材の確保に課題を抱える中堅・中小企業様にとって、最も導入しやすく、かつ効果を実感しやすいSASEであることを目指して開発されました。

そのために、Veronaは以下の点で海外製品との差別化を図っています。
運用サービスの標準付帯
専門エンジニアによる運用サポートが追加費用なしで受けられます。お客様は複雑な運用から解放されます。
手の届きやすい価格設定
日本企業が必要とする重要機能に絞り込み、シンプルな構成とすることで、高機能な海外製品と比較して導入しやすい価格帯(年間500万円~5,000万円程度が目安)を実現。導入時のNI費用も原則不要です。
シンプルな設計と分かりやすさ
過剰な機能を削ぎ落とし、導入・設定・管理の複雑さを排除。お客様向けの管理画面も、必要な情報が一目でわかるよう配慮された、使いやすい日本語インターフェースです。
つまり、Veronaは「専門家がいなくても安心して導入・運用でき、コストパフォーマンスにも優れた、日本のための国産SASE」という、明確なポジションを確立しています。
SASE導入の罠。「運用」をおろそかにすると効果半減?フルマネージドが不可欠な理由
Veronaの最大の強みとして、「フルマネージドサービスが標準付帯」であることを強調してきました。では、なぜSASEの導入において「運用」、そして「フルマネージド」がこれほどまでに重要なのでしょうか。

その答えは、日本の多くの企業が抱える深刻なIT人材不足という現実にあります。IPA(情報処理推進機構)などの調査でも示されているように、約8割もの日本企業がIT人材の量・質ともに不足を感じており、特に自社システムの運用管理を担う社内SEの不足は慢性化しています。これは、IT人材がユーザー企業よりもベンダー企業に偏在しているという、日本の産業構造にも起因しています。

このような状況下で、いくら高機能なSASEソリューションを導入したとしても、それを適切に運用・管理できる体制がなければ、導入効果を十分に得ることはできません。それどころか、
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日々大量に発生するセキュリティアラートの確認が追いつかず、重大な攻撃の兆候を見逃してしまう。
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次々に発見される脆弱性への対応が遅れ、そこを攻撃者に狙われてしまう。
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本来厳格であるべきアクセス制御の設定にミスがあったり、最新の状態に更新されなかったりする。
といった「運用の不備」が発生しやすくなります。そして、これらの運用不備が、ランサムウェア感染などの深刻なセキュリティインシデントの直接的な原因となるケースは、残念ながら後を絶ちません。
SASEは導入すれば自動的に安全になる魔法の箱ではありません。その効果を最大限に引き出し、継続的にセキュリティレベルを維持・向上させるためには、導入後の「適切な運用」が極めて重要です。だからこそ、IT人材の確保が難しい日本の企業にとっては、専門家が運用業務を包括的に代行する「フルマネージド」サービスが、SASE導入を成功に導くための最も現実的で効果的なアプローチであると、私たちは考えています。

Veronaのフルマネージドサービスでは、アカウント管理、ログ管理、ファームウェア更新、アラート監視、各種設定変更、そして障害発生時の調査・切り分け・復旧支援まで、SASE運用に必要な専門業務を網屋のエンジニアが責任を持って担当します。これにより、お客様はセキュリティ運用の専門知識や専任担当者がいなくても、安心して最新のSASE環境を活用し、そのメリットを享受することができるわけです。
Veronaのフルマネージド体制が実現するSASEの導入効果
では、Veronaのフルマネージド運用体制が、具体的にどのようにSASEの導入効果を最大化し、お客様のネットワークを安全かつ効率的に保つのか、そのポイントを3つご紹介します。

1. アラートの「監視・分析・報告」で被害を最小化
セキュリティシステムは日々膨大な数のアラートを発しますが、そのすべてが即座に対応を必要とするわけではありません。
だからこそVeronaでは、経験豊富なエンジニアがアラートを監視し、その内容を分析しています。そして、数あるアラートの中から、不正侵入の試みやマルウェア感染の疑いなど、本当に注意すべき重要なインシデントの兆候だけを迅速に特定し、お客様に的確にご報告します。これにより、お客様は大量のアラート情報に振り回されることなく、真に対応すべき脅威に集中でき、「万が一のインシデント発生時にも被害を最小限に抑えることが可能になる」というわけです。
2. 脆弱性への「プロアクティブな対応」で攻撃対象になりにくく
新たなソフトウェアの脆弱性は、発見されると同時に攻撃者に悪用されるリスクがあります。Veronaでは、エンジニアが常に最新の脆弱性情報を収集・評価し、お客様の環境への影響を判断した上で、必要なファームウェアアップデート作業を計画的かつ迅速に実施します。お客様側で煩雑なパッチ管理を行う必要はありません。これにより、脆弱性が放置されるリスクを限りなく低減し、攻撃者に狙われにくい、常に最新の防御状態を維持します。
3. アクセス制御ポリシーの「適切な設定・維持」でセキュリティ効果を発揮
ゼロトラストセキュリティの要であるアクセス制御ポリシーは、「一度設定したら終わり」ではありません。
組織変更、人員の異動、新しいアプリケーションの導入などに合わせて、継続的に見直し、最新かつ最適な状態に維持していく必要があります。Veronaでは、お客様からのご依頼に基づくポリシーの設定変更やチューニングも、専門知識を持つエンジニアが適切に対応します。設定ミスや意図しない許可を防ぎ、厳格なポリシー運用を維持することで、SASEが本来持つ高度なセキュリティ効果を最大限に発揮させます。
このように、Veronaのフルマネージドサービスは、単なる作業代行に留まらず、専門家による高度な知見とプロアクティブな対応を通じて、お客様がSASEの真の効果を実感できるよう、運用面から強力にサポートします。
Verona SASEの心臓部!4つの構成要素とその役割
Veronaがどのようにしてシームレスでセキュアなネットワーク環境を提供しているのか、その仕組みを支える主要な「構成要素」についてご説明します。Veronaは、大きく分けて以下の4つのコンポーネントから成り立っています。

1. Verona Cloud (クラウドコントローラー&サポートセンター)
Veronaシステム全体の「司令塔」であり、運用管理の中心です。クラウド上に構築され、お客様の環境に設置されるVerona Edgeや、各端末のVerona Clientを一元的に管理・制御します。ポリシーの設定や適用、ログの収集・分析、そして私たち網屋のエンジニアによる運用サポート提供も、すべてこのVerona Cloudを通じて行われます。お客様が直接操作する管理画面も、このクラウド上で提供されます(※ただし、主な設定変更はエンジニアが代行)。
2. Verona SASE (SASE基盤)
実際にネットワーク通信の制御やセキュリティチェックを行う、クラウド上のサービス基盤本体です。SD-WAN、ZTNA、SWG、FWaaSといったSASEの中核機能は、すべてこの基盤上で稼働します。お客様ごとに分離された専用環境として提供され、高い信頼性と柔軟な拡張性を備えています。社内外からのアクセスは、原則としてこのVerona SASE基盤を経由することで、一貫したセキュリティポリシーのもとで安全性が確保されます。
3. Verona Edge (SASEゲートウェイ)
お客様の物理的な拠点(本社、支店、工場、データセンターなど)に設置する専用のハードウェア機器です。この機器が、拠点のローカルエリアネットワーク(LAN)とクラウド上のVerona SASE基盤とを安全に結ぶための「玄関口」となります。拠点内のPCやサーバーからの通信は、このVerona Edgeを通じて暗号化され、SASE基盤へと転送されます。
4. Verona Client (クライアントソフトウェア)
テレワークや出張先など、オフィス以外の場所からVeronaを利用する際に、従業員個人のPCやタブレットなどの端末にインストールしていただくソフトウェアです。このクライアントソフトが、端末とVerona SASE基盤との間に安全な通信路(VPNトンネル)を確立します。これにより、ユーザーは社外からでも、社内にいるのと同じようにセキュアに社内リソースへアクセスしたり、SASE基盤で保護された安全なインターネット接続を利用したりすることが可能になります。
これら4つの要素が、Verona Cloudによる一元的な管理・制御のもとで相互に連携し、ユーザーがどこにいても、どの端末を使っていても、常に安全で最適なネットワークアクセスを提供します。それがVerona SASEの基本的な仕組みです。
Veronaはどう繋がる?多様なニーズに応える接続方法と機能
では、これらの構成要素を使って、Veronaがどのように実際の通信を処理し、多様な接続ニーズに応えているのか、具体的な接続イメージと関連機能について詳しく見ていきましょう。

図の中心にあるクラウド(Verona SASE基盤)が、すべての通信のハブ(中継・制御点)となります。
【拠点からの接続】
本社や支社、営業所などの拠点からは、Verona Edgeを通じてSASE基盤に接続します。Verona Edgeは、一般的なPPPoE接続だけでなく、より高速で安定したIPoE方式のインターネット回線にも対応。さらに、10Gbpsの高速回線に対応したモデルも用意されており、通信量の多い拠点でも快適にご利用いただけます。将来的には、モバイル回線(5G対応デュアルSIM)を内蔵したモデルも登場予定で、これにより固定回線の敷設が困難な場所での利用や、回線の冗長化も容易になる予定です。拠点間の通信も、このSASE基盤を経由することで安全に制御されます。
【個人端末からのリモートアクセス】
社外のPCやタブレットからは、Verona Clientソフトウェアを使ってSASE基盤に接続します。接続時には、標準でクライアント証明書を用いた厳格な端末認証が行われ、許可された端末のみがアクセス可能です。さらに、認証プロセスでは、まずVerona Cloud(IdaaS連携可)でユーザー認証と端末認証を行い、両方が成功した場合にのみSASE基盤への接続ポートが動的に開く(ダイナミックポートコントロール)という、ゼロトラストに基づいたセキュアな仕組みを採用しています。Microsoft Entra IDなどのIdaaS(Identity as a Service)と連携すれば、既存のIDを活用したシングルサインオン(SSO)や、多要素認証(MFA)も実現でき、利便性とセキュリティを両立可能です。
【インターネット・クラウドアクセス制御】
拠点や個人端末からインターネットやクラウドサービスへのアクセスは、SASE基盤を経由する際に、URLフィルタリング、DNSセキュリティ、IPS/IDS、アンチウイルスなど、多層的なセキュリティチェック(全通信の検証・制御)を受けます。これにより、マルウェア感染や不正サイトへのアクセスといった脅威からユーザーを保護します。特定のSaaSなどに対しては、Verona SASEの固定グローバルIPアドレスを利用してアクセス元を制限(接続元GIP制限)することも可能です。
一方で、通信品質が重要となるMicrosoft 365やWeb会議(Teams, Zoomなど)の通信については、ローカルブレイクアウト機能を利用し、SASE基盤を経由させずに端末から直接インターネットへ接続させることで、遅延を最小限に抑え、快適な利用環境を提供します。
【内部ネットワークのセキュリティ】
本社やデータセンターなどのネットワーク内部では、マイクロセグメンテーションの考え方に基づき、サーバー群や部署ごとにネットワークを論理的に分割・隔離することで、万が一マルウェア感染などが発生した場合でも、被害が他のセグメントへ拡散するのを防ぎます。
このように、Veronaは多様な接続形態に対応しつつ、ゼロトラストセキュリティの原則に基づいたアクセス制御、脅威防御、そして通信の最適化を、一つのプラットフォーム上で実現します。
【導入事例1】図研エルミック様:VPN/FW更改を機にSASEへ移行!セキュリティ強化とネットワーク最適化を実現
Veronaが実際にお客様のビジネスにどのように貢献しているのか、具体的な導入事例を通してご紹介します。まずは、組込みシステム開発やストリーミング技術を提供する図研エルミック株式会社様の事例です。

図研エルミック様がVeronaを選定した決め手は、「必要十分なセキュリティ対策を、低コストで実現できる」という点にありました。ちょうど既存のVPN装置とファイアウォール(FW)の保守期限が迫っており、機器のリプレイスを検討される中で、単なる機器更新ではなく、昨今の脅威動向(特にサプライチェーン攻撃リスクへの懸念)を踏まえたネットワークセキュリティ全体の強化を目指されました。同時に、リモートワークやクラウド利用の増加に伴うインターネット回線のトラフィック逼迫も課題として認識されていました。
Veronaを導入した結果、SASEの包括的な機能により、社内外からのアクセスに対するセキュリティレベルが向上し、アクセス制御も強化されました。懸念されていたセキュリティ不安が解消されただけでなく、ローカルブレイクアウト機能を活用して特定のクラウド通信(パブリッククラウドへのダイレクトアクセス)を最適化したことで、回線逼迫の問題も解決し、ネットワーク全体の効率化にも繋がりました。
この事例は、既存のセキュリティ機器の更新時期を、より高度なセキュリティと効率性を実現するSASEアーキテクチャへ移行するための絶好の機会と捉え、Veronaによって低コストかつスムーズにそれを実現された、非常に参考になるケースであると考えられます。
【導入事例2】スーツ販売大手様:全国400店舗のネットワーク運用をVeronaで効率化!
次にご紹介するのは、より大規模な事例です。全国に400店舗を展開されている、スーツ販売の大手企業におけるVerona導入ケースです。

このお客様にとって最大の経営課題の一つが、全国400店舗にわたる広域ネットワークの運用管理でした。クラウドサービスの利用が増加するにつれて、本社のインターネット出口に通信が集中しボトルネックが発生。店舗での業務システム利用などに影響が出始めていました。加えて、400店舗すべてのネットワーク機器の管理、セキュリティポリシーの維持、そして障害発生時の対応などを、限られた情報システム部門の人員で継続していくことに限界を感じておられました。まさに、ビジネスの成長と変化に、従来のネットワークインフラと運用体制が追いつかなくなっていたのです。
Verona導入の決め手は、これらの課題を解決し、「400店舗のネットワーク運用効率を抜本的に向上させる」ことへの期待でした。
導入の結果、ローカルブレイクアウトの活用により店舗からの通信ボトルネックは解消され、快適なクラウド利用環境が実現しました。そして何よりも大きな効果として、これまで情報システム部門の大きな負担となっていた400店舗分のネットワーク機器管理とセキュリティ運用を、網屋のフルマネージドサービスに全面的にアウトソースすることに成功。運用負荷の大幅な削減と、専門家による高レベルなセキュリティ運用の両立を実現しました。
この大規模展開を支えたのが、Verona Edgeのキッティングサービスです。網屋側で事前に必要な設定をすべて済ませた状態の機器を各店舗に直接配送するため、店舗側では機器をLANケーブルと電源に接続するだけで設置が完了します。これにより、IT専門のスタッフがいない店舗でも簡単に導入作業を行うことができ、400店舗という広範囲への展開を、わずか3か月という驚異的な短期間で完了させることができました。
多店舗・多拠点展開におけるネットワーク運用管理の複雑さやコスト、セキュリティ維持の課題に対し、Veronaの「フルマネージド」と「導入の容易さ」がいかに強力な解決策となり得るかを示す、象徴的な事例と言えるでしょう。
最短3週間で試せる!Verona SASEの導入ステップと移行プラン
「SASEって、導入するまでが大変そう…」「今のネットワークを止めずに切り替えられるの?」
よくいただく質問ですが、Veronaなら、そんな心配はご無用です。導入プロセスは非常にシンプルで、現在の環境からの移行も、業務への影響を最小限に抑えながらスムーズに進めることができます。

Verona導入にあたって、お客様に行っていただく主な作業は、基本的に「Excel形式のヒアリングシートにご記入いただく」ことだけです。現在のネットワーク環境、接続する拠点やユーザーの情報、適用したいセキュリティポリシーのご要望などを、このシートにご記入ください。
そのヒアリングシートの内容に基づき、網屋の専門エンジニアが、お客様専用のVerona SASE環境の設計・構築をすべて行います。クラウド上のSASE基盤の設定はもちろん、拠点に設置するVerona Edgeの事前設定(キッティング)も網屋側で実施しますので、お客様側での複雑な構築作業は一切発生しません。また、通常システム導入時に必要となるSI(システムインテグレーション)費用も原則不要です。
構築完了後、お客様にご確認・承認いただければ、すぐにサービスを開始できます。Verona Edgeが届いたら、現地でネットワークと電源に接続していただくだけです。目安として、ヒアリングシートをいただいてから無料トライアル(PoC)の開始までは約3週間、その後の本番環境への移行は約2週間と、非常にスピーディーな導入が可能です(※期間は環境やご契約内容により異なります)。

さらに、Veronaは「一斉切り替え」だけでなく、現在のネットワーク環境を稼働させたまま、段階的に移行していく柔軟なプランにも対応しています。
例えば、
ステップ1(並行稼働期)
まずは既存のネットワーク(閉域網やVPNなど)はそのまま利用しつつ、Verona SASE環境を新たに構築・稼働させます。この段階で、例えばリモートアクセスだけを先行してVerona Clientに切り替える、といった部分的な導入から始めることも可能です。
ステップ2(段階的移行期)
準備が整った拠点から順次、既存のルーターやUTMをVerona Edgeに置き換え、通信経路をVerona SASE経由に切り替えていきます。
ステップ3(移行完了)
すべての拠点、すべてのリモートアクセスユーザーがVerona SASEを利用する状態へと移行を完了します。
このように、既存環境とVerona環境を並行して運用しながら、お客様のペースに合わせて少しずつ移行を進めることができるため、業務への影響を最小限に抑えられます。「システム移行中のトラブルが心配…」というお客様でも、安心して導入に取り組んでいただけます。
お客様の現在の状況やご要望を詳しくお伺いした上で、最適な移行計画をご提案させていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。
【無料トライアル】導入前に安心!Verona SASEを「試せる」PoCプログラム
「Veronaの機能や効果を、実際に自分たちの環境で試してから導入を判断したい」
そういったお考えの方に向けて、網屋では無料のトライアルプログラムをご用意しています。

このPoCプログラムでは、Verona SASEが提供する主要な機能(※一部制限がある場合があります)を、一定期間、費用のご負担なく実際にお試しいただくことが可能です。
そして、VeronaのPoCが他と違うのは、単に環境を提供するだけでなく、PoCの期間中も、網屋の専任エンジニアが導入設定から活用方法のご相談、技術的な質疑応答まで、手厚くサポートさせていただく点です。
実際の通信環境での効果測定
お客様のPCや拠点からVeronaを経由した通信を行い、セキュリティ機能(URLフィルタリング、脅威防御など)の効果や、通信パフォーマンス(速度、安定性)をご確認いただけます。
管理画面の操作性確認
お客様専用の管理画面にアクセスし、どのような情報が可視化されるのか、レポート機能などを実際に操作して、使い勝手をご確認いただけます。
サポート体制の体験
設定変更のご依頼や、運用に関するご質問など、実際の運用を想定したサポート担当者とのやり取りを通じて、網屋のサポート品質をご体験いただけます。
導入後の「こんなはずじゃなかった」というミスマッチを防ぎ、お客様に十分ご納得いただいた上でVeronaを選んでいただくためのプログラムです。お申し込みは、ヒアリングシートにご記入いただくだけと非常に簡単ですので、ぜひこの機会に、Veronaの導入効果をご自身でご体感ください。ご興味のある方は、弊社ウェブサイトの申し込みフォームなどから、お気軽にお問い合わせいただければと思います。
※ご利用いただくサービス内容によって、トライアル期間は異なります。
※トライアル期間終了後は、環境がリセットされます。検証環境をそのまま本番環境へ引き継ぎたい場合は、トライアル期間中に別途ご契約手続きが必要となりますので、担当者にご相談ください。
【Verona連携】SASEを核に、網屋のサービスで実現するトータルセキュリティ
網屋は、フルマネージドSASE「Verona」の提供に留まらず、お客様の多様なセキュリティニーズにお応えするための、幅広い関連サービスを提供しています。

ゼロトラストセキュリティの理念を真に実現し、維持していくためには、ネットワーク境界だけでなく、オフィス内の無線LAN環境、個々のPCやサーバー(エンドポイント)、そしてシステム全体のログ監視やインシデント発生時の対応体制まで含めた、多層的かつ包括的なアプローチが不可欠です。Veronaをセキュリティ戦略の中核に据えながら、他の網屋サービスと有機的に連携させることで、より強固で運用しやすい「トータルセキュリティ」環境を構築することが可能です。
具体的には、以下のようなサービスとの連携をご提案できます。
クラウド管理型 無線LAN「Hypersonix」
オフィスや店舗のWi-Fi環境をクラウドから一元管理。Veronaと連携することで、無線LAN接続時の認証やアクセス制御を強化し、よりセキュアなワイヤレス環境を実現します。
自律型EDR「SentinelOne」
AIを活用し、PCやサーバー上での未知のマルウェアや高度なサイバー攻撃を自動で検知・防御・修復するエンドポイントセキュリティソリューションです。ネットワーク(Verona)とエンドポイント(SentinelOne)の両面から脅威に対処します。
クラウドCSIRTサービス「セキュサポ」
専門のアナリストがお客様のセキュリティログ(Verona、EDR、その他)を24時間365日体制で監視・分析し、高度な脅威の検知やインシデント発生時の対応を支援するマネージドサービスです。
統合ログ管理システム「ALog」
様々なシステムや機器から出力されるログを一元的に収集・管理・分析し、セキュリティインシデントの早期発見、原因究明、監査対応などを支援します。Veronaの通信ログや操作ログも容易に連携可能です。
クラウド情シスサービス「ランサポ」
お客様の情報システム部門の業務(IT資産管理、ヘルプデスク、アカウント管理など)を網屋が代行するアウトソーシングサービスです。Veronaの運用管理と合わせてご利用いただくことで、IT部門全体の運用負荷を大幅に軽減できます。
このように、網屋はお客様の課題やご予算、目指したいセキュリティレベルに応じて、ネットワークからエンドポイント、そして運用監視まで、最適なサービスを組み合わせてご提案し、お客様のビジネスをサイバー脅威から守るための「トータルセキュリティパートナー」となることを目指しています。
まとめ:Veronaで始める、安心・簡単・効果的な次世代ネットワークセキュリティ
本日のセッションでは、現代の企業ネットワークが抱えるセキュリティ課題を概観し、その有力な解決策であるSASE、そして特に日本のビジネス環境に適した選択肢として、網屋が提供するフルマネージド国産SASE「Verona」について、その特徴、導入メリット、実際の導入事例、そして簡単な導入プロセスまで、詳しくご紹介させていただきました。
Veronaの重要なポイントを改めてまとめます。
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「フルマネージド」が標準
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専門家による運用サポート込みで、IT人材不足でも安心!
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「国産」ならではの最適化
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日本企業に使いやすいシンプル設計と日本語インターフェース!
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高い「コスト効率」
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必要な機能に絞り込み、導入・運用トータルコストを抑制!
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「簡単・スピーディー」な導入
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ヒアリングシート記入だけでPoC開始まで最短3週間目安!
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